夢現
徒然綴る創作小説のようなもの。ほぼ自己満足。http://sappe.fc2web.com

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会話                 
「その事実の上では、誰が犯人なのかしら?」
 上品な、それでいてどこか騒がしい小鳥のような矛盾した声音で、彼女が聞く。
「そんなものは知りませんよ。私は探偵でも刑事でも、ましてその犯人でもない」
「それもそうね。貴方はただの人間でしたわね」
「ご理解いただけたようで、恐れ入ります」
 不思議な会話を成り立たせて、私は席を立った。彼女は読みかけの推理小説を頭上に掲げ、
「それじゃあ、私は帰らせて頂きますわ。第三者の視点なら、犯人が分かるかと思ったけれど全然ね」
溜め息と共にくすくすと笑った。私も同じように溜め息を吐き、彼女に背を向ける。
「それは仕方ありませんよ。なんせ貴女はそういう立ちまわりの方なのですから」
「それもそうね。では私は犯人捜しを探偵と貴方の頭脳に任せてみることにするわ。ちゃんと見つけてね?じゃないと、私は死ぬ事になっているのだから。いつ殺されてどんな状況なのか分かってしまっているのはルール違反だけど、だからこそ恐ろしいものだもの」
 彼女は厄介事を楽しむかのように笑い、最後に「またお会いしましょう」と言って私が読みかけの本を閉じた。振り向くと、彼女の姿はなかった。

 とある頁で、「彼女」は殺害されていた。とても無残で、残忍で、けれどどこか芸術のように飾られた死。殺害現場で彼女を見つけた人々は驚き、恐れ慄き、涙を流す。探偵はまた被害者を増やしてしまった自分への不甲斐無さに自己嫌悪しながらも、彼女を殺害した……彼女「達」を殺害した犯人への怒りをあらわにする。そんな描写の数々。

 さて、今日の読書はここまでにしよう。「彼女」のための「犯人探し」は、また明日。
: 創作 : - : - : posted by さや :
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